【孤独死を発見してから帰郷まで】現場から垣間見る家族の形を変化させた日本への課題
孤独死で発見された場合、その後どうなるか知っていますか?
本記事では、孤独死が発見されてから帰郷までのことや、日本国内における孤独の実態などをまとめています。
孤独死を迎えないために、残される私たちや、私たちが孤独死をしないためにはどうしたら良いのでしょうか。解決策を探している方は必見です。
【発見されてから帰郷まで】孤独死が発見されたら
孤独死とは、家族友人など誰にも看取られることなく、一人で死亡することですが、現在の日本では、家族の形の変化とともに核家族化や高齢化が大幅に進み、一人暮らしの世帯が増えました。
現代の日本では、必ず何かとついてきた「人との縁」が減少してきていることから「孤独死」は社会的に大きな問題ともなりつつあるのです。
では、孤独死で発見された場合に、そのあとはどのような経緯で帰郷をするのでしょうか。
詳しくお話しましょう。
孤独死の発見後の対応『亡くなっているかわからない場合は救急搬送』
孤独死と発見されるきっかけは、遺体の腐敗臭などから近所の人が気づくことや、家族が久しぶりに訪れて気付く発見と二通りです。また、異変に気付く近所から管理会社などへの通報がきっかけで発覚するケースも少なくありません。
部屋の状況や、部屋の中で倒れているところを見かけても、まずは身体の様子を伺います。
倒れていて動かないけど、「亡くなっているかはっきりとはわからない」という状態のときは、生死の確認および、次の処置を一通り行えるため救急車を呼ぶのです。
●生きていれば病院に搬送するため、応急処置
●事件性があれば警察へ通報
普段、生死をさまよっている身体を見たことがない場合には、どのような対応をしたら良いのか、衝撃を受けて脳も思うように働かなくなるでしょう。救急隊員に発見したらすぐに連絡するようにしてください。
また、明らかに腐敗している匂いを放っているなど「亡くなっている様」であれば、警察に通報をしますね。警察では、検案をするまで不審死という判断になり、発見者が大家や管理人であった場合には、現場検証を行うのですが、その際住宅管理関係者も含め、「部外者」とみなされた場合には、室内に入ることはできません。金品なども触ることもできないため、もしなにかあったとしても触らないよう、現状維持を心がけましょう。
遺族が遺体を引き取る場合は?家族がいない場合は?
親族が遺体を引き取る際は、遺族によって葬儀、遺品整理など行われるでしょう。
遺族へ、現場検証や遺体の検案を行ったことなどの報告を受けるときに、家宅捜索の際に押収されていた金品など、元住居の鍵を受け取ります。その際に、遺体の保管をしている葬儀社の情報も受け取るのですが、ここで遺族が検討する必要があることは次の2つです。
●遺体を安置する場所
●(火葬をする際など)遺体を運ぶ手段
遺体の搬送は、葬儀社に依頼をすることが一般的とされていますが、別の会社に依頼をすることも可能です。急いで搬送をする場合には病院で連携をとっている葬儀社などに依頼も可能ですが、安置所の滞在時間にも限りがあるため、よく確認を取っておくと良いでしょう。
遺族がいない場合の遺体には、「行旅病人および、行旅死亡人取扱法」という法律に基づいて、遺体が住まれていた、地方自治体が火葬をします。遺骨についても、引き取り手がいない場合には「ご遺族がいない・引き取り手がいない」人たちが埋葬されている無縁塚に埋葬されることになるのです。
※この際にかかる費用は法定相続人や、扶養義務者などに後々請求されます。
孤独死を迎えた部屋は『特殊清掃員』が片付けを引き受ける
特殊清掃業とは、清掃業のひとつで、事件現場清掃業ともいわれる職種に就いている人たちのことです。
清掃の内容は通常の学校にいるような清掃員の仕事ではなく、
●事件
●事故
●自殺
以上の変死現場での掃除や、独居死、孤独死などの遺体で発見が遅れて腐敗や腐乱した遺体がいた部屋の現状復帰業務、現状回復をする清掃員のことです。
特殊清掃員は、主に汚染除去、血液除去、腐乱・腐敗した体液、肉片の除去などを行います。つまり、通常の清掃員が行っていない遺体のあった部屋の清掃を主に行う人たちと考えてよいでしょう。
主に料金は次の通りで定められています。
間取り | 料金相場 | 作業人数 | 作業時間 |
1Rから1K | 3万から8万円 | 1 ~2名 |
1~3時間 |
1DKから1LDK | 5万から20万円 | 2~4名 | 2 ~6時間 |
2DKから2LDK | 9万から30万円 | 2~5名 | 2~8時間 |
3DKから3LDK | 15万から50万円 | 3~8名 | 4~12時間 |
4LDK以上 |
22万から60万円 | 4~10名 | 6~15時間 |
企業や団体によって料金に含まれるサービス内容も大きく分かれているため、依頼をする場合には詳しく確認をしておく必要があります。
また、清掃員は昨今同じ業者と考えられる遺品整理業者とは、持つ資格や知識、専門性などが全く違い、提供できるサービスも異なるため、遺品整理をしたい場合には遺品整理士、部屋の掃除の場合は特殊清掃、と目的別に依頼をするように注意しましょう。
【21カ国で1番?】日本における孤独はどの国よりも多い
以下の表は、厚生労働省により出された、日本の孤独率の多さです。
家族以外の人と交流のない人の割合
オランダ | 2.0 |
アイルランド | 2.9 |
アメリカ | 3.1 |
デンマーク | 3.3 |
ドイツ | 3.5 |
ギリシャ | 3.7 |
イギリス | 5.0 |
ベルギー | 5.1 |
アイスランド | 5.5 |
カナダ | 5.8 |
スペイン | 6.8 |
フィンランド | 7.4 |
韓国 | 7.5 |
オーストリア | 7.6 |
イタリア | 7.7 |
フランス | 8.1 |
ポルトガル | 9.5 |
チェコ | 10.0 |
メキシコ | 14.1 |
日本 | 15.3 |
調査を行った国の中でも最も交流が少ないと答えたのは、日本なのです。
また、内閣府による4か国調査では、同居の家族以外頼れる人がいないと答えた人は、日本が16%とこちらもまた最多でした。
先にも話した通り、今まで日本では家族だけでなく、会社付き合いによる社縁、近所付き合いからなる地縁などが大変強く、意識して作らなくても問題がない地域が多かったでしょう。
このときの状態は「保てていた」と言えますが、先代が築き上げたコミュニティは先代まで強化されていたことで構築する必要もありません。
最初から「我々のコミュニティは存在している」と思い込み、「依存状態」に陥ってしまったといえるのです。
人のつながりは、強化していない限り、孤独になります。今の日本に必要なことは、コミュニティを作ろうとする自立精神と、コミュニティ(つながり)を広げる共生なのです。
孤独死になる原因は『セルフネグレクト』
家族以外に頼れる人がいなくなってしまった場合や、高齢になっている状態で外とのつながりが一切ない場合、頼れる人がいません。
もし、頼れる人がいたとしても、「自分で生きることを諦めてしまう」ということもあるのです。
以下表は2016年と少し昔の統計データですが、厚生労働省においてセルフネグレクトを調査した結果です。
男女問わず、年齢別にセルフネグレクトになった経緯や、影響などをまとめたものですが、70から80代は多め、60代や90代は少ないことがわかりますね。
サービスの拒否や不衛生型など、自らでサービスの拒否や、拒否から孤立になってしまった方がセルフネグレクトになりやすいこともグラフからわかるのではないでしょうか。
孤独死を作り出してしまう理由の一つとしてあげられることが「セルフネグレクト」です。
セルフネグレクトとは、自分自身が「生きる」ための責任を放棄することであり、現代の日本に多くある問題のひとつとされています。
セルフネグレクトになってしまうと、なにか患ったときも、薬を飲まずに悪化していくのをただ傍観して待つのみ、いつか訪れる死を受け入れているのです。
この「セルフネグレクト」が孤独死へとつながるケースとなることも少なくありません。
孤独死を作らないために必要なことは【気にかけること】
孤独死が社会的にも問題になっている日本で、現状の状態を少しでも脱却すべく、私たちができることは訪問サービスを利用したり、孤独死対策など、「家の中に少しでも自分以外の人の影を増やす」ということや地域の人と関わりを持つことです。
また、健康的な生活を心がけることで、「セルフネグレクト」のきっかけを減らすことにもなります。
孤独死が起きた場合に起こることは、不動産価値の下落や、遺族や行政にかかる遺体の処理、遺族がいれば金銭的な負担などです。
死んでいく本人もできればこんなことは起こしたくない!と考えることで、自ら、遺族など周りで可能な限り対策を立てなくてはならないのです。
まとめ|孤独死の現場の声は『孤独は他人事ではない』
孤独死が増えてしまっている日本で今最も増やしていくことは身近のコミュニティと言えるでしょう。
一人になる機会を極力減らし、一人ひとりが近所やコミュニティ、周りを気に掛けることで「孤独」を解消することにつながると考えられませんか?
死亡は他人事であっても、孤独は他人事ではありません。誰もがなり得ることで、誰もが当事者なのです。