家族が「生前整理」に向き合う大切さ

2020年12月2日

家族が「生前整理」に向き合う大切さ

 

皆さんは、「終活」という言葉を聞いたことはありますか?

「終活」とは、人生の終わりに向けて行動することで、そのひとつに「生前整理」があります。

「生前整理」と聞くと、高齢者の方がやることだという認識を持っている人も多いようですが、実は、30代〜40代の方でも「生前整理」を始める人も最近増えてきています。

最近では、「生前整理」は、「死」を意識し始めた人だけではなく、これからの生活や暮らしを良くしたいと考える若い人たちの間でも一般的になってきています。

そこで今回は、「生前整理」に向き合う大切さについてお話ししていきます。

 

・「生前整理」とは

「生前整理」とは、自分が生きている間に行う身辺整理や財産整理などのことを示しています。

普段の生活の中でも行う大掃除や断捨離とは違い、自分の死後と向き合いながら行う整理のことです。

しかし、自分の死後のことだけを考えながら行うものではなく、「自分の残りの人生を今までより、より良いものにする」という意味合いもあります。

つまり、死後のことだけではなく、今後の明るい未来のために行うものでもあります。

「遺品整理」とも混合されがちですが、「遺品整理」は文字通り、遺品を整理することなので、当人の死後に親族が行うものです。

それに対して、「生前整理」は、当人自身が生きている間に行う整理のことです。

家族の手を借りて行う場合もありますが、基本的には自分の物を自分の判断で整理していくことで、その意味が大きく変わってきます。

 

・「生前整理」のやり方

(1)財産目録をつくる

自分の財産である現金、預貯金、不動産、自動車、株券などに加えて、借金やローンのようなマイナスの財産についてもリスト化していきます。

自分がどんな財産を所有しているのかなどの資産をリストとして示しておくことで、相続のトラブルや価値あるものが継承されなくなるリスクを回避することもできますよ!

(2)遺言書をつくる

遺言書は相続対策に一番有効な方法です。

遺言書は、必ず残さなければならないものではありませんが、適切に作成された遺言に、持っている財産の相続先を示しておくことで残された家族が揉めたり、家族の関係が悪くなることを防ぐことができますよ!

ただし、遺言書は、決まった形式に基づいて作成しないと法的に無効になってしまうので注意が必要です。

(3)モノを手放す

「生前整理」のメインであるモノを手放すという作業です。

モノを仕分けようとしても、なかなか片付けが進まず結局あまりモノが減っておらず、片付けもできていないという経験がある方も少なくないのではないでしょうか?

モノを手放すことができない人に共通している点は、モノを「いるもの」と「いらないもの」で仕分けをしてしまっていることです。

「いつか使うかもしれないからいるもの」や「まだ綺麗だから捨てるのは勿体ない」というような考え方を持っている人は、家の中にあるほとんどのモノが「いるもの」になってしまいます。

しっかりと整理したい場合は、「使うもの」と「使わないもの」で分けて片付けをすると良いかもしれません。

とてもシンプルな考え方ですが、これを意識するだけで意外と簡単に整理することができますよ!

「今後いつか使うかもしれない」と思うモノは、たいてい一生使わないことが多いので、手放してしまいましょう。

 

・「生前整理」を始めるべき時期

それでは、いつから自分の「生前整理」を始めれば良いのでしょうか?

「定年退職」や「還暦」、「子供の巣立ち」など人生の中では、いくつもの節目があります。

そして、「生前整理」を行う時期やタイミングは、人によって様々です。

だからこそ「生前整理」を始めるのに、「まだ早い」や「もう遅い」ということは一切ありません。

思い立った時に、始めるのが一番です!

 

・早いうちから「生前整理」を行うメリット

早くから「生前整理」を行うことで、メリットはいくつかあります。

その中でも、特に大きく2つのメリットをお話しします。

(1)何かあった時のための備え

人生は、いつ何が起こるのか全くわかりません。

今日まで健康体でも、明日も健康体だと決まっているわけではありません。

もし今日、明日、万が一のことがあって、入院することになったりした場合、「生前整理」を行なっていれば、子供や家族、パートナー、友人に必要なものがどこにいるかをすぐに伝えることができます。

「生前整理」を早めに行っておき、整理している状況を事前に家族などに伝えておくと良いかもしれませんね!

(2)体力があるうちに整理することができる

モノの整理や仕分け作業、不用品の運び出しや処分など、「生前整理」は思いの外重労働になります。

体力ややる気がなくなってしまうと、作業を進めることができなくなってしまうので、元気で体力のあるうちから「生前整理」を行うことをおすすめします!

もちろん「いつまでに絶対にしないといけない」という決まりはありませんが、いつまでも後回しにしていると、気づけば「生前整理」を行うことができない体になってしまっていることもあります。

少しでも「生前整理」をしようと思ったら、その時に始めてみましょう!

 

・「生前整理」を行う理由

「生前整理」を行うことで、自分だけではなく、家族にもメリットがあります。

(1)自分に対するメリット

1.自分の希望を叶えることができる

当たり前のことですが、自分の死後に「こうしてほしい」という希望を家族やパートナーに伝えることは不可能です。

「生前整理」を行うことで、事前に葬儀の方法や自分の持ち物をどうしてほしいかなどを自分の希望通りに書き記しておくことができます!

2.家の中をすっきりさせることができる

家の中のモノを整理することで、必要なモノが何なのかを知れる機会になるので、残りの人生を本当に大切なモノと一緒に過ごすことができます!

(2)家族に対するメリット

1.相続トラブルを防ぐことができる

家族が自分の財産のことで、揉めて関係が悪くなるのは誰でも悲しいことです。

数千万〜数億円単位の遺産相続の場合よりも、数百万単位での遺産相続の方がトラブルになりやすということが既にわかっています。

「生前整理」をすることで、財産をしっかりと把握して、事前に遺言書などに書き記しておくことで、家族のトラブルを防ぐことができますよ!

2.遺産整理などの負担を軽減することができる

「遺品整理」は、残された家族にとって非常に負担が大きいものになります。

家族への苦労や苦痛を少しでも減らすことができるように、前もって身の回りの整理をしておくことで自分だけでなく家族のためにもなります!

 

・「生前整理」を進めるポイント

家の中を見渡す溢れ返るモノ、それらを見ると「生前整理」が途方もない作業に感じてしまう方がほとんどでしょう。

そんな時に「生前整理」をうまく進めるポイントは、「少しずつコツコツと進めること」です。

とても簡単でシンプルなことですが、実はこれが「生前整理」を上手に進めていくのに一番重要なことです。

いきなり全力で始めて、早く終わらせようとしても、必ず途中でエンジンが切れてしまいます。

「1日○分ずつ」や「今日はこの部屋、この棚、この引き出しだけ」など、始める前から計画を立てて始めるのが効果的です。

このような簡単な毎日のスケジュールを組んで、スケジュール通りに「生前整理」を行うことで継続して進めることができます。

その日の整理が終了したら、カレンダーやスケジュール帳に印をつけて自分を褒めたりすることで、小さな達成感を毎日感じることができます。

こういった小さな達成感を毎日感じることができることで、やる気を維持でき、毎日コツコツと「生前整理」を進めることができます。

 

・1人で難しい場合は業者に頼むこともできる

使わないモノだとわかっていても手放せないモノや今まで溜め続けたモノを整理するのは層状以上に大変なことで、かなりの時間がかかる作業になります。

毎日コツコツ続けていても、半年〜1年、もしくは、数年以上かかってしまう場合もあります。

そんな時は、思い切って業者に依頼するというのも1つの方法です。

実際に、「生前整理」という言葉が世間に浸透するようになってから、「生前整理」を業者に依頼する人は年々増えています。

自分一人の作業だとなかなか処分できなくても、業者が介入することによってモノをスムーズに手放すことができます。

もちろん、業者は勝手に処分することはないので、手放し方を相談しましょう!

第三者に相談することで、今まで捨てることができなかったモノたちともスッキリお別れすることができます。

また、プロの意見を聞くことで、相続などのややこしい手続きについても何をするべきかなどを細かく教えてくれるというメリットもありますよ!

 

・まとめ

今回は、家族が「生前整理」に向かう大切さについてお話ししました。

「生前整理」には、当人にとってのメリットだけではなく、家族にとってのメリットもあります。

家族と死後や「生前整理」について相談することは難しいことですが、その分家族や自分のこれからの人生にとってとても重要なものになります。

今すぐにではなくても、思い立った時には「生前整理」に向き合ってみてくださいね!