貧困化する高齢者

2021年2月21日

貧困化する高齢者

老後2,000万円問題が話題となっている近年ですが、実際にその金額以上の貯蓄をしている世帯はわずか20%程度と言われています。

残りの80%程度の高齢者たちは老後において十分だと言われる2,000万円という貯蓄がないわけですが、中には貯蓄額が100万円未満で何とか年金を頼りに暮らしているという高齢者も結構いたりするものです。

そう、高齢者の貧困化は確実に進んでいるのです。

この記事では、そんな「貧困化する高齢者の現状や原因、対策」などについて解説していきたいと思います。

貧困化する高齢者とは

貧困化する高齢者とは、老後の生活を送るにあたり、少なすぎる年金生活のため趣味にお金もかけられず、質のいい食事もできない、電気代を気にする生活では思うように暖房やクーラーを使うことができない、病気になっても病院へかかることもできない貧しい生活をする高齢者のことを指します。

日本は年々少子高齢化が進み、このままでは高齢者が増えていくとされます。

しかし、政府の高齢者対策にかけられる予算には限りがあり、生活保護の申請も通りにくいことも高齢者が貧困から抜け出せない原因となっています。

また、所得が年間で150万円未満の高齢者は年々増加傾向にあり、実に65%もの高齢者が公的年金で生活をしているという厚生労働省のデータ結果が出ています。

そのため、高齢者の中には定年後もなおアルバイトをして、収入を得る生活をする人も増えていますが、それでも年収200万円以下という平均所得金額となっています。

貧困化する高齢者になってしまう原因は?

夫婦が一緒に暮らしている場合は2人分の公的年金で生活ができますが、1人世帯では年金も半分になってしまうため思うような生活ができず、節約することになります。

そのため、日々、余裕のある暮らしができていないご老人が多いです。

このことから、年金だけに頼っていては、収入があった若い頃のように、老後に豊かな生活ができないと分かります。

世帯の人数が減れば減るほど1人あたりの光熱費や家賃の負担の額は大きくなってしまいます。

このことで、生活コストが高くなれば、1人あたりのコストの負担額はますます増えていってしまいます。

収入のある息子や娘と一緒に暮らし、生活費を賄ってくれているのならまだ生活に余裕が出るでしょう。

しかし、昨今は昔のように子供夫婦が一緒に住むことも減り、年金に頼る夫婦のみで暮らしている人が増えているため、子供からの援助が期待できず、年金で生活をする世帯が増えているのです。

また、高齢者世帯数は6年の間に3000世帯も増えていますし、65歳以上の男性の公的年金の平均受給額は17万円ほど。女性であれば月額約10万円程度となっています。

そのため、男性の1人暮らしより、女性の1人暮らしの世帯の方がより生活は苦しく、貧困に陥ることが多いのです。

ただ、この年金の平均受給額も年々減っています。4年前と比べると約7,000円は減っている現実があり、これからますます減ると予測されています。

貧困化する高齢者の特徴とは

貧困化する高齢者の特徴には、女性の単身高齢者世帯が多いことです。

公的年金の額が男性よりも5万から7万円も少ない人が多く、月額約10万円前後の年金生活では家賃を払い、水道や電気、ガスなどの光熱費を支払い、さらには食費、洋服代、生活雑貨などをまともに購入することは大変でしょう。

また、基本的に日本国民であり、過去に定められた年金を支払っていた人は基本的に受け取れる基礎年金ですが、高齢単身女性の場合、この基礎年金しか受給している人が目立ちます。

基礎年金の月額満額は6.5万円程度であるため、この基礎年金だけを頼りに生活する単身高齢者は貧困生活をすることになってしまうのです。

どうして基礎年金のみを受け取って生活をしなければならないかというと、自営業や漁師、農業などで生計を立てていた夫が亡くなってしまったとき、基礎年金のみが受給されます。

また、非正規雇用の仕事をしていて、結婚していないとき、厚生年金を支払わなかった女性は基礎年金のみを受給することになるのです。

そして、基礎年金だけでは受給額も年間で80万円前後となるため、外食を控えたり、食費を削る、友達と旅行に出かけるのを控えるなど、娯楽においての楽しみを控えなければならない人は多いです。

また、若いころに貯蓄していた貯金から生活費にまわしたり、アルバイトをして、月5万円前後を稼ぎ、生活費に当てている女性の単身高齢者が増えています。

貧困化する高齢者の今後は

貧困化する高齢者の今後は、自分で対策をしなければ、貧困生活から抜け出せない老後を送ることになってしまうでしょう。

若いときに女性も仕事をして厚生年金を支払い、老後に受給できるようにする。

なるべく高額な賃金の会社で働く、そして、長く働くことも、老後にしっかり充分な年金を受給できるポイントになります。

自分で老後にいくらほどお金がかかるかチェックする

老後にどのくらいのお金がかかってくるのか、早めに自分で計算しておくことが大切です。

高齢者の生活をチェックすれば、老後には夫婦で快適な生活を送るには、60歳代で月に23万円から24万円と言われています。

さらに、週末に旅行や外食を楽しむ、スポーツ、サークル、孫との付き合いなどを楽しむ場合、さらに14万円程度かかることから、月額37万円から39万円はかかることになるのです。

60歳で定年退職をして、85歳まで夫婦で快適に暮らすとなると、7,000万円以上はかかることになりますが、退職金などが支給されない民間企業に勤める人の場合、貯金をしながら老後に備えることが必要です。

また、退職金が支払われる企業の場合では、将来退職した時に受給される退職金の額や、どのような生活をすれば夫婦が楽しく快適に暮らせる生活ができるかシミュレーションして、慎ましく生活をしましょう。

雇用環境を改善する策を考える

退職年齢を65歳にする引き上げや、退職した高齢者の再雇用を国が進めているのも高齢者が老後を快適に暮らせるための対策の1つです。

公務員は希望すれば65歳まで仕事を続けられる再任用という形をとり、企業によっても65歳まで働ける環境づくりを推薦する企業も増えています。

また、シニア向けの求人を連載するサイトも増えていますし、ハローワークにも求人を募集する会社も増えているなど、さまざまなところで60歳以上のシニアが働ける求人が増えています。

インターネットを利用して、自宅で求人を探したり、応募できるサイトや雑誌もありますし、スマホでも求人を探し、応募できるサイトも増えていますので、利用してみるといいでしょう。

貧困化する高齢者にならないための対策とは

老人を金銭的に支える子供が減少することで、給付金額が低下していくこの公的年金制度では、少子高齢化が進むにつれて老後に給付される給付金額は減少していきます。

65歳以降から年金を受給することで、受け取る受給額を割増しできる受給制度が利用できます。

就労期間を長くすれば給付額が減ってしまうリスクを回避できる可能性がありますので、健康な人は、なるべく長く仕事を続けることが、老後の貧困を回避できる策となるのです。

主要先進国であっても、高齢者に貧困者が目立つ日本。早く社会環境の整備やセーフティネットの充実が求められますが、なかなか進んではいません。

そのため、老後に貧困に陥らないよう、自分達で対策を考えることが求められます。

まとめ

今回は、貧困化する高齢者の現状や原因、対策などについて解説してきました。

少子化が進むこれから先の日本では、貰える年金額も減額される可能性もありますし、受給年齢が上がる可能性もあります。

65歳を超えてもある程度働けるような環境を作っておくことが非常に重要と言えるでしょう。