ゴミ屋敷は発達障害が関係している!?ゴミ屋敷化する様々な背景とは

ゴミ屋敷は発達障害が関係している!?ゴミ屋敷化する様々な背景とは


家中がゴミに溢れるその異様な光景から、メディアにも取り上げられることが多いゴミ屋敷。
そんなゴミ屋敷の住人は、発達障害者である可能性があります。

発達障害にはADHDや自閉症スペクトラム障害などがあります。
これらを患っている人たちには、部屋をゴミ屋敷化しやすい様々な特徴があります。

なぜ家がゴミ屋敷化してしまうのか。
ゴミ屋敷化に隠れた様々な背景を考察していきましょう。
また、発達障害者の住むゴミ屋敷の改善方法も紹介していきます。ゴミ屋敷の住人自身、もしくは周りの人が協力して、ゴミ屋敷化を防いでいきましょう。

なぜゴミ屋敷になってしまう?ゴミ屋敷に住む人の特徴


なぜ家はゴミ屋敷化してしまうのでしょうか。ゴミ屋敷の住人に共通する特徴を見ていきましょう。

「ためこみ癖」を患っている

ゴミ屋敷の住人の中には「ためこみ癖(hoarding)」を患っている方が多くいます。

「ためこみ癖」は精神医学の言葉です。物を手放すことに苦痛を感じ、溢れた物を整理できません。溢れかえった物で、日常生活にまで支障が出ている状態の事を「ためこみ癖」と言います。

「ためこみ癖」は、人口の2%から6%の人が患っていると言われています。10代から20代のうちに軽症で発症する場合が多くありますが、加齢とともに症状は徐々に悪化します。30代半ばになると家がゴミ屋敷化するなど、症状が目に見えて分かるようになります。これは、時間の経過と共に悪化する慢性的な病気のため、自然に治ることはほぼありません。

精神疾患に悩まされている

ゴミ屋敷の住人は、うつ病や統合失調症などの精神疾患に悩まされている場合も多くあります。

うつ病は、生きるためのエネルギーや気力が著しく低下している状態です。食事をしたり、お風呂に入ることにも気力が湧かないため、ゴミを捨てる気力もなくなってしまっています。

統合失調症の人は、幻覚や妄想を現実と区別をつけられない状態に陥っています。例えばゴミを捨ててしまうと大変なことになる、という思い込みからゴミ屋敷化が進んでいることが考えられます。うつ病や統合失調症などの精神疾患が原因でゴミ屋敷化している場合は、まず治療を始める必要があります。

多忙もしくは極度のストレスがある

多忙、もしくは極度のストレスがかかっている人は、家をゴミ屋敷化しやすい傾向があります。

関東や東海で清掃事業を行う「リプロズホールディングス」では、コロナ禍で片づけ依頼が急増していることを発表しています。

『2020年の1都3県(埼玉、千葉、東京、神奈川)の片付け依頼件数は19年比で45%増加。東海3県(岐阜、愛知、三重)は25%増えた』という結果報告がされています。コロナ禍で生活が大きく変化したことや、コロナ感染への不安などが大きなストレスとなっている考えられます。そんなストレスが家をゴミ屋敷化してしまっているのでしょう。

また、『顧客の男女比は3対7で、男性の2割、女性の8割が医療関係者からの依頼』であることから、コロナ禍で多忙を極めた医療従事者たちがゴミ屋敷化させてしまっている実態が見えてきます。

発達障害を患っている

ゴミ屋敷の住人には、ADHDや自閉スペクトラム症などの発達障害を患っている人が多くいます。

発達障害を患っている人は、上記で紹介した「ためこみ癖」を併発することが多くあります。「ためこみ癖」を患っている影響で、部屋が物で溢れかえってしまうのがゴミ屋敷化の原因の一部です。

また、発達障害のADHDの人は「ためこみ癖」以外にも部屋をゴミ屋敷化してしまう特徴を持ち合わせています。どのような特徴を持っているのか、以下で確認していきましょう。

ADHDだとなぜゴミ屋敷化してしまう?ADHDの人の特徴について

発達障害の中でも特に、ゴミ屋敷化に繋がりやすいADHD。
なぜADHDの人の家はゴミ屋敷化してしまうのでしょうか。ADHDの人に見られる特徴を見ていきましょう。

注意散漫で片づけが長続きしない

ADHDの方は注意散漫で一つのことに集中することが難しい傾向があります。

そのため、いざ部屋の片づけを初めても、出てきたアルバムや本を見始めて数時間が経過してしまうこともあります。せっかく湧いてきた片づけ意欲も、注意散漫な性格がゆえに長続きしません。一日30分だけ掃除の時間にするなど、時間制限を設けて掃除をするといいでしょう。

こだわりが強く「ゴミ」を捨てられない

こだわりが強く「ゴミ」を溜めこんでしまうことも、ADHDの人の特徴として挙げられます。例えば、缶ビールなどある特定の種類のものにこだわり、繰り返し購入する傾向があります。
そして、同じ空き缶を数十個単位で保管し続けてしまうのです。

他人から見れば、それはただのゴミの山ですが、ADHDの人にとっては「ゴミ」という認識はありません。
ADHDの人にとっては大事なこだわりの品なのです。
一つのものにこだわると、それを10年も20年も使用したり収集してしまいます。
その結果、ゴミ屋敷になるほど家がゴミで溢れかえってしまうのですね。

整理整頓ができない

整理整頓ができないのもADHDの人の特徴です。整理整頓が苦手な理由として、部屋全体を見通しての整理整頓が難しかったり、毎日少しずつ片づけるということができないことが挙げられます。

ADHDの人は棚の中や引き出しの中など、狭い範囲を整理整頓することはできます。
しかし、部屋全体を片づけるとなるとどこから着手したらよいかが分からなくなってしまいます。

注意散漫で飽き性なこともあり、部屋全体が片付く事はめったにありません。

また、毎日少しずつ片づけることができず物は出しっぱなし、放りっぱなしになっていることが多いです。
これは、「回避行動」とも呼ばれ今やるべきことを後回しにしてしまう行動が見られます。
「回避行動」は、大人のADHDの人によく見られる行動です。

片づけは先延ばしにされ、見て見ぬふりをされるため、床や家具の上は散らかったままの状態になってしまうのですね。

発達障害者でも清潔に保てる!?ゴミ屋敷化させない方法2つ


ゴミ屋敷の住人が発達障害者でも、家を清潔に保つことはできるのでしょうか。家をゴミ屋敷化させないためにできること2点をご紹介いたします。

お掃除ヘルパーを部屋に呼ぶ

発達障害を患っていて、ゴミ屋敷化しやすい人はお掃除ヘルパーを呼ぶことで、部屋を綺麗に保ちやすくなります。

発達障害の方は、コロナ感染対策のために外ではゴム手袋をはめるなど、潔癖症な一面もあります。もともと持っている潔癖な性格から、お掃除専門家のヘルパーの助言は聞き入れやすい傾向があります。

ヘルパーは、「要るものと要らないものを分別しましょうね」などとアドバイスをしてくれます。定期的にヘルパーが部屋に入ってアドバイスをしてくれることで、発達障害者は片づけを進めやすくなりますよ。

よく知っている身内に指摘されると発達障害者は羞恥心が湧いてきたり、腹立たしさを覚えてしまうことがあるので注意しましょう。

人との関わりを持たせて孤立させない

発達障害者は、孤立することでゴミ屋敷を悪化させてしまうことがあります。

もともと決まり事やルールを守る事が苦手な発達障害者。他人の目に触れない生活をしていると、どうしても気が緩んでしまい、より一層堕落した生活になってしまいます。

友人や知人などとの人付き合いを深めること。家族や親族との繋がりを大事にして定期的に交流を持つようにしましょう。

人は誰しも完璧ではないため、誰かと補い合って生きていく必要がありますよ。
発達障害を患っていて、かつ片づけが苦手だと感じる場合は、短所を埋めてくれる人を探してみましょう。

まとめ

発達障害者は、家をゴミ屋敷化しやすい様々な特徴を持っています。

「ためこみ癖」や「回避行動」はその一例ですが、発達障害者特有の行動は、不要なものの把握や時間管理などで、日々意識的に整理整頓をしていく必要がありそうですね。

自分の力では、どうにもならないゴミ屋敷は人の力を頼りましょう。プロの掃除屋やヘルパーに依頼することで、ゴミ屋敷を改善することができます。

家族や知人との繋がりを大事にして、人の目に触れる生活をすることもゴミ屋敷改善に効果的ですよ。