死後の手続きに優先順位はあるの?葬儀の流れや注意点を徹底解説
突然訪れる可能性のある家族の死…。深い悲しみの中でもやらなくてはいけない死後の手続きがあるのはご存知でしょうか?死後の手続きには公的なものや故人が生前契約していたサービスの解約、葬儀の手続きなどがあります。さらに死後の手続きには期限が定められているものがあり、期日が迫っているものから処理していかなくてはならないのです。
そこで、死後の手続きを行ったことがない初めての人に知っておいてほしい死後の手続きの種類と優先順位、葬儀の流れや注意点を詳しく解説していきます。大切な家族が安らかに眠れるようにしっかり学んでおきましょう!
死後の手続きは期限があるの?知っておくべき手続きの種類と優先順位
死後の手続きをするのが初めての場合は、種類や優先する順位はわかりませんよね…。そこで、期限付きのものから期限が定められていない死後の手続きをまとめました。
すぐに手配をするべき死後の手続き
・死亡診断書と死亡届を手配する
…死亡診断書は死亡届と同じ1枚の用紙で左半分が「死亡届」、右半分が「死亡診断書」になっています。死亡診断書は死亡を確認した医師などが記入して作成し、死亡届は必要事項を届出人が書いて署名と押印をします。用紙は病院に用意されており、医師や葬儀会社が準備をしてくれるのが一般的です。
・年金受給停止の手続きをする
…年金受給者が亡くなると年金を受ける権利がなくなるので、年金事務所へ受給権者死亡届を提出して年金受給を停止なければなりません。しかし、受け取るべき年金が支給されていない場合、一定の要件を満たす遺族が請求すれば未支給年金を受け取れますよ。
【出典:厚生労働省 死亡診断書記入マニュアル】
【出典:日本年金機構 年金受給停止の手続について】
7日以内に行う死後の手続き
・死亡届を提出する
…死亡の事実を知った日から原則7日以内に法律で定められた届出人が所定の窓口へ提出します。
・火葬許可申請書を提出する
…火葬を行うためには火葬許可証が必要で、死亡の事実を知った日から原則7日以内に火葬許可申請書を提出しなければなりません。自治体によっては死亡届の提出で火葬許可書が交付されケースもあり、この場合は火葬許可申請書の提出は不要となります。
【出典:法務省 死亡届について 】
14日以内に行う死後の手続き
・世帯主変更届を提出する
…世帯主変更とは、現在の世帯主から世帯員の誰かに世帯主を変更する手続きです。新たな世帯主となり得る世帯員が2人以上いる場合、14日以内に市区町村役場へ世帯主変更届を提出して世帯主変更の手続きを行う必要があります。
・健康保険の資格喪失の提出と保険証の返却をする
…健康保険加入者が亡くなると死亡日の翌日から被保険者としての資格を失い、保険証が使用できなくなります。国民健康保険の被保険者は、14日以内に市区町村役場へ国民健康保険被保険者資格喪失届を提出し、国民健康保険被保険者証の返却を…。社会保険加入者は、事業主側が保険証の返却も含めて資格喪失手続きをしてくれます。
死後の手続きは速やかな対応を…ルールに沿った葬儀や法要の流れ
死後の手続きには公的なものもありますが、葬儀関係の準備もしなくてはなりません。ルールに沿った葬儀や法要の流れを確認しておきましょう!
近親者へ連絡のち葬儀社やお寺の手配
病院でお亡くなりになると医師から危篤の告知があります。その際、深夜や早朝でも差支えはありませんので確実に伝えられる電話で近親者に優先して連絡をしましょう。入院したタイミングで生前に会わせたい人がいれば、一報を入れておくことも…。
亡くなられた当日は遺体の搬送、お寺の手配、お通夜・お葬式の日程の確定が必要です。近年は火葬場の空き状況で日程が遅くなることもありますので、多くの関係者に影響を与えないように早めに行動しましょう。
遺体を搬送して葬儀の準備
葬儀社やお寺を決めたら病院から遺体を搬送します。最近は自宅ではなく、葬儀社の施設や斎場に搬送できますので親族側の都合に合わせて葬儀社と打合せをしましょう。遺体搬送を終えたら、喪主・火葬場・葬儀の形式・費用・火葬を踏まえた日程など段取りについて打合せをし、葬儀会場の手配と準備を進めていきます。
故人の意思を反映した葬儀を催す
葬儀の方針は故人の意思を反映しつつ家族の話し合いで決めましょう。近年は「家族葬」といった家族だけで限定した葬儀も増えていますので、規模や参列者の範囲などは葬儀社と打合せを…。また、お通夜・お葬式を催す上で大切な「遺影」「思い出の品」は、危篤になる前にある程度は探しておくと良いですよ。
最後の別れと冥福を祈る儀式を行う
葬儀と初七日の法要が終わると出棺の前に「お別れの儀」として故人と最後のご対面をします。葬儀場から火葬場へ運ぶ出棺式は、葬儀・告別式の締めくくりとなる重要なセレモニーです。火葬には1時間程度かかり、待ち時間に精進落としとして食事を取ります。火葬が終わると骨壺に収める骨上げを行い、骨壺と埋葬許可証を受け取ります。
骨壷をお墓に納めて供養する納骨は期限は決まっていませんが、「四十九日」「一周忌」などの法要を目安にすると良いでしょう。
絶対に忘れてはいけない死後の手続き…注意してほしい点とは
死後の手続きには期限付きのものがあるため、期限を過ぎると法律に反してしまうことも…。法律違反にならないためにしっかりと死後の手続きを確認しておくことが重要です。
死亡届を出さないと法律違反
故人の死亡届を出す義務のある届出人が正当な理由なく定められた期限内に申請しなかった場合、戸籍法に基づいて5万円以下の過料支払いが命じられます。死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内に提出しなければなりませんので、可能な限り早いうちに届出を行いましょう!
ただし、死亡届を出す義務がある方に対する規定なので、届出義務者に該当しない人は、届出期間を過ぎてから死亡届を提出したとしても罰則は科せられません。
【出典:戸籍法 罰則について 第132条 第135条】
相続放棄の期限は3か月以内
生きているうちは気付かなかったものの家族が亡くなって直接故人宛に請求される借金は、一般的に死後1ヶ月前後で判明することが多いです。そのまま3ヶ月以上放置すると借金が相続され、支払わなければならなくなります。
相続放棄の期限を3ヶ月過ぎてしまった場合は、必ず相続と債務整理の両方に精通している専門家に相談しましょう。ベストな解決方法を導き出してくれますよ!
【出典: 裁判所 相続の放棄の申述】
故人の所得税の準確定申告は4か月以内
故人に動産所得があったり、自営業者等で所得税の確定申告が必要だったりする場合は、相続人が代わりに確定申告をしなければなりません。準確定申告を4ヶ月過ぎてしまうと加算税や延滞税といった追徴税がかかる可能性があり、通常納める必要のない税金が発生します。相続が発生したときに準確定申告の必要有無の確認はしっかりしておきましょう
【出典:国税局 準確定申告について】
遺留分減殺請求は1年以内
遺言があって自分の相続する遺産が全く無い場合や法定相続分より少ない場合は「遺留分減殺請求」という請求で一定の割合を取り戻せます。遺留分侵害額請求できる人は、配偶者
・子供・孫・ひ孫・親・祖父母・曾祖父母などです。相続開始と遺留分侵害の2つの事実を知ってから1年以内に遺留分侵害額請求をしなければ時効となってしまいます。
なお、相続開始から10年が経過すると自然に遺留分侵害額請求権は消滅します。不公平な相続だと感じたら権利が消滅する前に早めに遺留分侵害額請求をしましょう!
【出典:裁判所 遺留分減殺について】
まとめ
家族が亡くなった際、早急にしなければならない死後の手続きには、死亡診断書の受け取りから火葬許可証の受け取り、公的な届出から名義変更までさまざまあります。死後の手続きには公的に決められている期限があり、期限を過ぎると罰則を命じられる恐れもありますので注意が必要です。
深い悲しみの中でもやらなくてはいけない死後の手続き…。提出時の必要書類などとあわせて優先順位を知っておくと期限超過しないでスムーズに進めることができますよ!