孤独死と独居死の違いとは?

2020年2月9日

孤独死と独居死の違いとは?

現在の日本では、「孤独死」が急増しています。

年間約3万人という多くの人が孤独死でこの世を去ると言われており、この数字は今後更に増加していくことが予想されています。

しかし、「孤独死」という言葉もよく耳にするようになってきましたが、「独居死」という言葉も最近では耳にするようになりました。

ここで疑問に思う人は多いのではないでしょうか?

「いったい孤独死と独居死の違いって何なんだろう?」という疑問です。

この記事では、そんな「孤独死と独居死の違い」について解説していきたいと思います。

孤独死と独居死の違いとは

それでは、孤独死と独居死の違いを簡単に説明してみましょう。

生活における突発的な持病が原因で亡くなり、誰にも看取られないのが「孤独死」と呼ばれています。

そんな孤独死に対して、社会から孤立してしまったために1人暮らしをして、住居内で亡くなっても、誰も助けてくれる者を呼べないうちに亡くなってしまい、発見されないのが「独居死」です。

孤独死と独居死は、その「亡くなっている状況」に違いがあるのです。

孤独死の場合は、亡くなってから3日以内であれば早期と言われており、冬場であれば遺体の腐敗もさほど進まず、住居を血液や汚物で汚してしまうことも最小限で済む場合が多いです。

この孤独死の場合は、多くのご遺体が3日以内で発見されており、第一発見者は管理会社が1番多く、次に親族や自治体となっています。

それに対して、独居死の場合は、長期放置されてから発見されることが多いのです。

孤独死とは

家族と一緒に暮らしている人、地域社会とも日頃から交流がある人が、亡くなる時に誰にも看取られずに息を引き取る場合が孤独死に当てはまります。

この孤独死は突発的に起こるもので、高齢者の場合、介護していた人が突然死した時に、副次的に自力で食事ができないため、要介護者側である寝たきり老人が餓死をする、病死するのもこの孤独死に当たります。

孤独死になる原因には、会社が倒産してリストラにあう、会社・マンション経営の失敗によって多額の借金を抱える、ギャンブルに手を出し、遺産や貯金を使い果たして餓死することが多いです。

病気で働けなくなって、収入が途絶えることで食事をする金もなくなり、餓死する人が孤独死するケースも増えています。

孤独死が起きやすい生活様式

孤独死が起きやすい生活様式では、経済的に余裕がない独身者、高齢者の男性に多いというような傾向が見られます。

1人暮らし男性は家事が苦手であるために、栄養バランスを考えた料理などもできず、栄養状態が疎かになりがちです。

また、1人暮らしの男性は整理・整頓も苦手である人も多いですよね。

このような男性は、住居内にゴミが溜まりやすく衛生管理も疎かになるため、生活の質も悪化することで病気になり、突然死になりやすく、看取る人がそばにいないので孤独死となるケースが多いと考えられます。

孤独死の死因となるもの

孤独死の死因には脳疾患や循環器障害によるものが多いですが、最近では、家庭内での虐待によって亡くなった人も孤独死に当てはまるとされています。

ただ、孤独死の場合、完全に血縁関係の人と関係を断ち切っている人が少ないため、亡くなったご遺体を引き取り葬儀をする人がいる場合が多いので、墓地に埋葬にされるケースが多いのです。

若い世代にも孤独死が増えている

病死して、孤独死する高齢者は多いですが、近年では自殺や貧困、病気などで20代~40代までの若い世代も孤独死が増えています。

親と同居している30代後半から40代になる人は餓死、病死になり、孤独死となるケースが多いと言われています。

なぜそのようなことが起こるのかというと、親が他界することで1人残された中年となる子供は将来への不安が要因となり、自殺して孤独死を遂げる人が多いのです。

独居死とは

独居死は、完全に家族とも離れ、近所とも交流を断ち切った1人暮らしの人が住居内で亡くなった場合に指す言葉です。

独居に1人暮らしをする人が多いため、子供や家族と暮らしている人は独居死には当てはまりません。

高齢者は半数以上が近所との付き合いがなく、健康や金銭的に余裕がなくても頼れる人がいない、審査基準が高いために生活保護の審査に通らないなど、行政からも相手にされないことで衰弱死してしまうことが多いのです。

経済的支援を必要とする高齢者が年々増加しているために、この問題は財政難のためになかなか進まず、困窮を極める高齢者の改善にはつながっていません。

独居死は高齢者が増えるにあたり、ますます増えてゆく社会的な問題とされています。

ですが、独居死の場合、1人で過ごしている人が多いため、亡くなっていても、孤独死より発見されるまで日数がかかりやすいという深刻な問題があるのです。

中高年世代に独居死が増えている

また、パラサイト・シングルと呼ばれる中高年世代では、独居死が増えています。

この世代は、親が亡くなる世代でもあり、再就職の難しい年齢でもあるために社会復帰が難しく、結婚して配偶者を得ることができなかったり仕事を得られない場合は遺産も底をつき、独居死に至るケースが非常に多いのです。

そのため、腐敗が進みやすく、悪臭が漂い、排泄物、害虫を誘き寄せることになり、木造住宅であれば腐敗したものが染み込み、室内汚染となります。

原状回復に時間と費用がかかることで、誰が金銭を負担するのか問題となることが多いのです。

管理会社や大家に金銭的に負担をかける

管理会社や大家さんに金銭的に負担をかけるばかりではなく、事故物件になってしまい、賃借人がなかなか見つからないトラブルにより賃金が入らない、一戸建てなら資産価値が下がってしまうなどの問題も起こります。

また、独居死ではご遺体を火葬した後、血縁関係のある人であっても連絡がつかない、連絡がついても遺骨を受け取ることを拒絶することも多いため、無縁仏として無縁墓に納めることになります。

2つの死の共通点

孤独死と独居死には、発見される方法に共通点があります。どちらも何度訪問しても留守が続いたり、家賃滞納や新聞や郵便物がいつまでもポストから取り出されていないことで近所や大家さんが気づくことが多いのです。

孤独死や独居死対策

孤独死や独居死は現在でも多くの件数が発生していますが、今後も更に増加していくことが確実視されています。

こういった事態を防ぐ手段としては、以下のようなことが挙げられます。

・相談窓口の設置

・協力員を活用し同じ地域に住む単身高齢者宅を巡回

・事業所などとの協定締結により、異変が発生してもすぐに支援できる体勢を作る

・単身高齢者の居住マップの作成

・緊急通報装置といった機器を活用する

・ヤクルトや牛乳、生協などの配達時に生活状況を確認してもらう

これらの対策は、すでに行っている自治体もありますが、まだまだ全国的には普及していないというのが現状と言えるでしょう。

まとめ

今回は、孤独死と独居死の違いについて解説してきました。

「孤独死」と「独居死」は似ているような印象を受けますが、実際にはその定義に違いがあるということがお分かりいただけたかと思います。

どちらにせよ、双方ともに徹底した対策がなされていれば防げる事例が多いはずなので、全国的な対策の徹底が急がれます。

しかし、そういったシステムが完全に構築されるまではやはりある程度の時間が必要となるはずです。

この機会に身近にいる単身高齢者への声掛けを積極的に行ってみてはいかがでしょうか?