独居老人はどれくらいの割合?独居老人が抱える問題やその支援策とは?

独居老人はどれくらいの割合?独居老人が抱える問題やその支援策とは?

少子化や高齢化を理由に独居老人が増えていることをご存じでしょうか。
ひと昔前までは、家族での集まりやご近所付き合いも活発に行われていましたが、仕事を機に遠くへ引っ越してしまった家族や希薄となったご近所付き合いなどが増えてきており、一人孤独に暮らす高齢者が増えてきています。

そんな独居老人はどのような問題を抱えているのでしょうか。人口に対する独居老人の割合や彼らが抱える問題、またその支援について解説していきたいと思います。ご家族や身近にお一人で暮らしている高齢者がいらしたら、彼らをどのように支えればいいのか。その参考になれば幸いです。

独居老人はどれくらいの割合を占めている?

団塊の世代が定年退職をしたというにニュースは一時期大きく取り上げられていました。
このことからもわかるように、現在の日本には多くの高齢者が生活をしています。
では、そのなかで独居老人はどれくらいの数を占めているのでしょうか。

独居老人とは

独居老人とは一人で生活を送っている高齢者のことを指します。 年齢に定義などはありませんが、とくに定年退職などで仕事に就いていなかったり、地域のコミュニティなどに属せずあまり人との関わり合いを持たない人のことを言います。

独居老人の割合とは

2019年に行われた国民生活基礎調査によると、65歳以上の人口は3763万1千人のうち独居老人は736万9千人いると言われています。
65歳以上の方の5人に1人が一人で生活を送っていることになります。

独居老人が増える理由


少子高齢化や核家族化などの理由から独居老人の人口はこれからも増え続けると予想されています。
しかし、これらの理由以外にも一人で生活をする独居老人は多くいます。
では、どのような理由で独居老人は増えていくのでしょうか。

何らかの理由で家族と同居できない

子どもや他の家族が仕事などで忙しい場合は、頼ることができず高齢でも一人で生活をせざるを得ない独居老人もいるようです。また、近くで生活をしていても不仲であったり、生活リズムの違いで同居ができないという方も見受けられました。

反対に「老後は子どもたちや家族に頼らずに生活したい」と考える高齢者もおり、自ら子どもたちや家族との同居を拒み、独居老人を選ぶ方もなかにはいます。

家族はすでに他界している

長らく連れ添った奥さんや旦那さん、また子どもたちはすでに他界して頼ることができる家族がいないという高齢者もいらっしゃいます

慣れ親しんだ場所から離れたくない

高齢の親を持つ子どもとしては一緒に生活して支えあいたい。と思う方も多くいますが、仕事などの関係で都会に両親を呼び、同居を考える人もいます。ですが慣れ親しんだ環境から離れたくないと考える高齢者は多く、独居老人となるケースもあります。
高齢の親を持つ子どもとしては一緒に生活して支えあいたい。と思う方も多くいますが、仕事などの関係で都会に両親を呼び、同居を考える人もいます。ですが慣れ親しんだ環境から離れたくないと考える高齢者は多く、独居老人となるケースもあります。

独居老人が抱える問題とは?

高齢者の人口が増えるにつれて、独居老人は珍しいことではなくなってきています。
ですが、体力や判断力など衰えることも多く、簡単に見過ごせる問題ではありません。
では、独居老人はどのような問題を抱えながら生活をしているのでしょうか。

うつ病や認知症などの病気

定年退職で社会との繋がりがなくなることや配偶者、兄弟などを亡くし、その喪失感からうつ病になる独居老人は多いと言われています。
高齢になってから発症するうつ病を老人性うつ病といい、それが原因となり認知症になっていく高齢者も多くないようです。

一度認知症になると進行を遅らせることはできても、治すことはできません。
認知症は服薬することを忘れたり、食事をしたかわからなくなったり、またゴミ出しの曜日や分別ができなくなり近所に人とのトラブルになることもあります。
一人での生活は話し相手がいないことが多く、老人性うつ病や認知症を悪化させる要因にもなりえます。

トラブルに巻き込まれる危険性

国民生活センターによると、60歳以上の方の相談が2019年度は約37万件ありました。
トラブルは高齢者を狙ったオレオレ詐欺などの振り込め詐欺にとどまらず、電話勧誘や訪問販売、またインターネット通販なども挙げられています。
独居老人だと相談できる人が周りにいないといったケースが多く、高齢者のなかでも詐欺に遭いやすいと言われています。

孤独死につながりやすい

高齢になると、友人との交流が減少し、また外に出ること自体が億劫になり、部屋に閉じこもりになりがちです。
体調が悪くなっても相談できる人がおらず、誰にも気付かれず、また看取られることなく自宅で息を引き取り、長い期間気づかれずに遺体が発見されるケースも多くみられます。
令和元年に行われた東京都監察医務院で、取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計によると東京23区で65歳以上の孤独死した人数は6089人で、そのうち5554人は単身世帯つまり独居老人だったというデータがあります。
10人に9人は独居老人という結果が出ており、独居老人と孤独死には深い繋がりがあることがわかります。

独居老人への支援とは

独居老人として生活していくことは多くの弊害があります。
1番の支援は家族が一緒に生活をすることですが、それぞれの事情により、同居できる方がすべてではありません。
そんな家族の支えが難しい一人で生活する高齢者ための支援を紹介していきます。

自治体を利用する

高齢者が自立した生活を送るための制度としてまず挙げられるのが介護保険制度ではないでしょうか。
自宅で生活を送る高齢者が利用できる介護保険サービスには、ヘルパーによる生活支援や訪問介護、訪問看護、通所介護(デイサービス)、福祉用具の貸与などさまざなものがあります。

また各自治体でも独自の支援を行っています。
・住宅改修補助
現在住んでいる家を生活しやすい環境にするために、手すりを取り付けるなどの住宅改修の支援を行っている自治体があります。
・外出支援
車などの移動手段を持たない高齢者に対して、バスやタクシーの料金を補助するサービスです。
・除雪支援
豪雪地帯では高齢者の雪かきは危険なため、自治体が自宅周辺の雪かきを担うというサービスです。

このように各自治体でさまざまな支援を提供しています。
地域によって行っている支援や字補助内容も異なってくるため、支援を利用したい方は各自治体の高齢者窓口に確認をお願いします。

見守りサービスを活用する

見守りサービスとはセキュリティ会社や郵便局などの民間企業が行う高齢者支援のことで、遠くに住んでいる高齢の家族をサポートするためのサービスです。
サービス内容は訪問型、カメラ型などさまざまなタイプがあり、時間の監視や安否確認、緊急時の対応など多岐に渡ります。

何か異常が起きたときにはすぐに対応してくれるというメリットはありますが、介護保険が適応されないことが多く割高になるサービスとも言えます。
ですが、頻繁に訪ねることができない両親のためにとサービスを検討するのもいいでしょう。

成年後見制度を利用する

高齢になると判断力が低下し詐欺などの金銭に関わるトラブルに巻き込まれる可能性が高くなることが上述した通りです。
成年後見制度は、認知症などで判断能力が衰えてしまったときに、周囲の方が後見人となり、代理人として財産を不当な契約などから守ることができる制度です。

この制度には信頼できる家族や友人がなる「任意後見制度」と、家庭裁判所が決める「成年後見制度」の2つがあります。金銭に関わることなので、後見人を選任する場合はトラブルにならないように慎重に選ばなくてはなりません。

まとめ

独居老人となり一人で生活を送っている高齢者は
・うつ病や認知症などの病気
・詐欺などの金銭トラブル
・孤独死
などの問題を抱えている方が多くいます。

独居老人が抱える問題を解決へ近づける1番の方法は、同居することや頻繁に訪ねるなどもっと多くの関わりを持つことです。
ですが、それが難しいことも事実でしょう。
そんなときは、政府や自治体、また民間が行っている支援を上手く活用し、「こんなはずではなかった」などと後悔することのないように環境を整えることが大切です。