ゴミ屋敷にいったいなぜ!?片付けられる人でもなってしまう理由と対処法
ゴミ屋敷の問題は、近年テレビやニュースでよく取り上げられるようになりました。住人の敷地からあふれ出たゴミの数々は、悪臭や害虫の被害だけではなく、火災などの危険もともなうため、近隣住民や自治体の頭を悩ませるものです。
ゴミ屋敷になぜなってしまうのでしょうか。ゴミ屋敷の住民といえば、もともと掃除などが苦手でだらしなのないイメージがありますが、じつは、かつてはゴミ捨てや掃除などがちゃんとできる人だった、ということが多いようです。
そこで今回は、もともと片付けができる人でもゴミ屋敷を生み出してしまうのはなぜか考えていきたいと思います。そこには精神的な疾患や神経障害、長い人生でむかえるライフイベント、社会からの孤立などの問題が関係しているようです。
ゴミ屋敷になるのはなぜ?なりがちな人の3つの特徴
ではまず、ゴミ屋敷を生み出してしまいやすい人の特徴をみていきましょう。どんな人でもなってしまう可能性があると分かるような項目が多いのではないでしょうか。
もったいない精神が強くてモノを捨てられない
一度買ったものを大切に長く使うことはとてもよいことです。壊れても修理したり、定期的にメンテナンスをすることでモノは長持ちします。また、とくに思い出がつまったモノは捨てにくいですし、いただいたモノを捨てるのは気が引けます。
しかし、もうどうしようもないモノをずっと持ち続けていてはモノがあふれてしまいます。まだ使えるモノはもったいないから捨てられない人も少なくないでしょう。いつか使うかもしれないからと残しておいたものの、どこに片付けたかも忘れてしまうくらいなら、思い切って処分しましょう。近年、ミニマリストという言葉が流行っているように、最小限のモノで快適に暮らすことも可能なのですから。
買い物が好きあるいは衝動買いが多い
ショッピングが好きだったり、セールの時期は思わず衝動買いしてしまう、という人も多いのではないでしょうか。しかし、いざクローゼットを見てみると、同じような洋服がズラリと並んでいるということはありませんか。
かわいいから、安いから、という理由でいろんなモノを買ってしまいますが、ちょっと待ってください。本当に今の自分に必要なモノなのか、同じようなモノをすでに持っていないか振り返ってみましょう。最近では、フリマやリサイクルショップなどが数多くあるので、必要のないものは他の誰かに譲るという方法も検討しましょう。
ゴミの分別が面倒あるいは捨て方が分からない
お住まいの自治体で決められている可燃ゴミやプラスティックなどの資源ゴミの収集日はご存知だと思います。しかし、不燃ゴミの日となると、いつだっけ?とあやふやになりませんか。また、粗大ゴミを捨てるさいには、まず各自治体への申し込みが必要ですよね。
ゴミの分別の仕方も意外と面倒です。スプレー缶などは中身を全部使ってから、ペットボトルはキャップとラベルを外してからなど、ゴミの種類によっては捨てる前にひと手間かかるものも多いですよね。ゴミを決まった日時に決まった方法で捨てることが難しいと感じることもあるでしょう。
片づけられる人でもゴミ屋敷になってしまうのはなぜ!?
ここまで、ゴミ屋敷にしてしまいやすい人の特徴をみてきました。ご自身にも当てはまる項目もあったのではないでしょうか。ここではさらに、ゴミ屋敷の原因となる、誰にでも起こりうる精神的疾患やライフイベント、社会からの孤立についてみていきたいと思います。
認知症や発達障害など脳の神経障害がある
認知症とは、脳の神経細胞が減少したり破壊されることで、判断力や理解力が低下していることです。加齢とともに認知症が進むこともありますし、近年では65歳未満の世代で発症する若年性認知症もみられます。とくに40代50代の働き盛りがアルツハイマー病を発症すると、老齢性の認知症よりも進行が早く、症状も重い傾向があります。認知力が落ちるため、ゴミをゴミと思わなくなったり、ゴミ出しの日を忘れてしまうのです。
神経発達障害のひとつである自閉スペクトラム症の場合には、次に述べるうつ病やセルフネグレクトなどの精神疾患をともなうことも多いようです。また、ADHDの場合には、不注意や落ち着きのなさが特徴で、ゴミ出しを忘れたり、家事をうまくできないことがあります。
強いストレスやうつ病などの精神疾患を抱えている
社会生活のなかでは仕事のストレスや、人間関係のトラブルなどが原因でうつ病などの精神疾患を発症することがあります。うつ病のほかには、統合失調症や強迫性障害なども、ゴミ屋敷を生み出してしまう疾患と考えられています。また、ため込み症とはいって、生活空間に大量のモノを集めておく精神疾患も知られています。
これらの症状がひどい場合には、セルフネグレクトといって、食事や睡眠、身支度など日常生活に必要な行動をまったくしなくなってしまいます。住空間に対しても自分できれいに保つこともありませんから、すぐにゴミ屋敷化してしまうでしょう。
大切な人との死別や社会から孤立している
かつてはゴミ出しや片付けができていた人も、次のようなことがきっかけでゴミ屋敷を生み出してしまうことがあります。そのひとつが大切な家族との死別です。生きる意欲が低下し、自分のお世話ができないセルフネグレクトに陥りやすいといわれています。とくに一人暮らしの高齢者に多くみられます。
また、ひとり親世帯や障害をもっている人などは、社会から孤立してしまいがちです。頼れる人が身近にいない場合には、精神的にも苦しいはずです。最低限健康的な生活を維持していくための経済的、医療的支援が必要な場合も多いでしょう。
ゴミ屋敷になってしまう前に周囲の人ができる対処法は?
ゴミ屋敷になぜなってしまうのか、その原因を知ることで私たちができることもみえてきます。認知症や発達障害、精神疾患は本人にはどうすることもできないため、適切なサポートが必要です。そして、身近にいる人が積極的に介入することも大切です。
定期的に交流をはかり社会から孤立させない
社会から孤立されていると感じる人は、生きる意欲を失いやすい傾向にあります。配偶者を失ってしまったり子供が独立した、あるいは仕事をなくしてしまった、身体的な自由がきかなくなったときなど、とても気分が落ち込むものです。喪失感や孤独感は自己放棄にもなりますし、長期的な気分の落ち込みは精神疾患につながります。
もし身近にそのような人がいるのなら、定期的に連絡をしてみてください。話を聞いてあげるだけでも、その人にとって前向きに生きていくための心のケアになるはずです。
自治体や医療のサポートサービスを知っておく
自治体では、身体的・知的・精神的障害をもっている人に対してのサポート機関を設置しています。たとえば、各都道府県にある「精神保健福祉センター」では、精神疾患を抱えている人の日常生活および社会生活を総合的に支援しています。
また、「発達障害者支援センター」では、日常生活から就業までの情報を多く提供しています。通院などにかかる医療費は、自立支援医療として助成をおこなっています。
それでもだめならプロの清掃業者に依頼する
家族や身近な人のサポートが難しい場合には、定期的な掃除を家事代行やヘルパーに依頼してもよいかもしれません。本人が苦手な部分だけを代行してもらうだけでゴミ屋敷になるのを防ぐことができることもあるからです。本人のストレスを軽減し、自立をうながすことにもつながります。
しかし、それでもだめなら、プロの清掃業者に依頼することをおすすめします。ゴミ屋敷の片付けには、どんなゴミがあるか分からないため、ケガや火災などの危険がともなうからです。
まとめ
もともと掃除や片付けができる人でも、ゴミ屋敷になぜなってしまうのか。その理由の多くは、本人やその家族だけでは解決できないものだったのではないでしょうか。認知症は若い世代でも発症するものの、加齢とともにおこりうるものです。うつ病などの精神疾患も、ささいなことがきっかけで誰が罹ってもおかしくありません。本人が生きる意欲をどんどん失ってしまう前に、迷わず手を差し伸べてください。
自治体やヘルパーなどのサポートを利用してもやはり手に負えない場合には、プロの清掃業者を検討するとよいでしょう。